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雨(2)
2013-03-10 Sun 18:56
 ぼくが彼女と出会ったのは小さい頃でした。
 物心がついた時からずっとぼくらは一緒でした。側にいるのがお互いに当たり前。そんな幼馴染み同士でした。
 少しずつ距離が離れていったのは小学生になった頃だったでしょうか。積極的な性格の彼女がたくさん友達を作っていく中、ぼくはそれでも側にいるのがずっと当たり前だと思い続けていました。当然ぼくにも人並みに友達がいたけれど、やっぱり最初のうちは彼女を目で追うことが多かったのです。けれど、年を重ねて行くうちにだんだんぼくの方も彼女と離れることに慣れていったのでした。
 中学生になった頃にはもうほとんど会うことはなくなっていました。時たま、偶然学校へ行く時に顔を合わせると一緒に行く、それくらいでした。その時ぼくと彼女は話をするもののあまり続かず、一人分の距離を置いて並んで歩いていました。途中で友達に会うと、どちらかが離れて行く。当たり前が当たり前でなくなっていました。
 さびしくなかった訳ではありません。少なくともぼくは昔のように仲良くしたいと思っていました。離れて行く彼女の背中を目で追いながら、ぼくは心の奥底に何か知らない気持ちがうごめくのをずっと感じていました。
 それが「恋心」だと気付いたのは高校の時でした。二年生になった時、ぼくは久しぶりに彼女とまた出会ったのです。その時には、ぼくも彼女も昔のことを記憶の片隅にしまい込んでいました。

 その日は雨。何もかもを覆い尽くすどしゃぶりの雨。
 夕方に帰って来た時、ぼくは彼女を見かけたのです。長い髪が彼女の顔を覆っていて、その表情は見えませんでした。そんな彼女がおぼつかない足取りで、近くの公園へと歩いていくのを見たのです。
 ぼくは彼女を追って公園に入りました。すぐに、ベンチでうつむきながら座る彼女を見つけ、話しかけました。
「どうしたの?」
 その問いに彼女はこたえてくれませんでした。ただ肩を震わせ、黙っているばかりでした。
「……泣いてるの?」
 気付いて恐る恐るぼくがそう尋ねると、彼女はばっと顔を上げました。思った通り、彼女の顔は涙と、そして雨とで濡れていました。
「――私ね、ふられちゃったの」
 そう言って、彼女はぼくの方へと駆け寄って来たのです。久しぶりでどうしたら良いのか分からず戸惑いましたが、ぼくはたどたどしく彼女の肩をそっと抱きました。そうすると、彼女も昔のように感じたのか、声を大きくあげて泣き始めたのでした。

 そして、雨はいっそう激しくなって、降り続けるのでした。
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