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雨(3)
2013-03-22 Fri 23:17
 それからというものの、ぼくと彼女は話を少しだけするようになったのです。とはいうものの、仲が良かった頃ほどでもありませんでした。でもそれがぼくたちにとってちょうど良い距離だったのかもしれません。
 話の内容はというと初めは恋愛相談ばかりでした。後になってふられた時のことを聞いてみると、友達から始めようと言われたそうで、そのことを聞いたぼくは自分から彼女の恋を応援すると言い出したのでした。男としても相談相手としてもどちらかというと良くはないぼくでしたが、彼女の力になりたいとひたすらに思いました。特に、彼女の涙を思い出すとそう思わずにはいられないくらいに。
 今になって彼女に話を聞いてみると、その時から彼女の思いは揺らいでいたそうで、ぼくが応援すると言ったから自分も頑張らないとと思ったそうですが、心の底では困っていたようです。要するに、ぼくは自分から墓穴を掘っていたということです。その時彼女は恋の相手のことを好きだった一方、ぼくのことが気になっていたのだそうです。
 そんなこともあってか、ある日ぼくは彼女から、練習と称していわゆるデートに誘われたのでした。

 その日は晴れ。何もかもを忘れられそうなすっきりとした晴天。
 練習とは言っても特に何もできず、ぼくはただただ彼女について回っていました。それでも、彼女は楽しそうで、一日中笑顔を浮かべていました。
 夕方、ぼくと彼女は観覧車に乗ることにしました。ふたりきりになって初めて、彼女は照れくさそうな表情を浮かべていました。ぼくも恥ずかしくて、てっぺん近くになるまで互いに顔を合わせることはありませんでした。
「……今日は、ありがと」
 ちょうど真上に来た時、彼女はおもむろに口を開き、そう言いました。何もできていなかったぼくは否定しようと思い、ぼくは彼女の方へ目をやりました。――その瞬間、彼女と目が合いました。
 彼女はその日一番の笑顔を浮かべていましたが、すぐに窓の方へと顔を向けました。ぼくも同じようにすると、そこには真っ赤に染まった夕日が出ていたのでした。
 その笑顔と夕日が輝いているを横目で見ながら、ぼくは思わず心臓が高鳴るのを感じていたのでした。
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