スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
雨(4)
2013-09-09 Mon 17:25
 そして、ぼくが自分のほんとうの気持ちに気が付いたのは間もなくのことでした。
 あれからずっと彼女の笑顔が頭から離れないまま、ぼくは彼女の相談に乗っていました。……とても複雑な気持ちでした。彼女が相手のことを口にする度、胸が締め付けられたのでした。
「――私、いってくるね」
 程なくして、彼女が不意にそう切り出したのでした。ぼくが顔を上げると、そこには彼女の無表情があったのでした。まるで何もかもを跳ね返すかのようなその表情。今でもぼくは「それ」を忘れることができません。
「今までありがと。 さよ、なら」
 ぼくが止める間もなく、彼女は走り出していたのでした。離れていく。なのに、追いかけられない。
 気が付くと、ぼくは涙を流していたのでした。

 その日は曇り。何もかもを覆いつくしてしまいそうな黒雲。
 ただ帰っていくしかないぼくは夕方、彼女を見つけてしまったのです。
 思わず、目が合ってしまうぼくと彼女。
 その時、だめだと分かっていても、ぼくは口を開いてしまったのでした。
「あ、あの! ぼく……」
「――言わないで!」
 さえぎるように、彼女が大声で叫びました。それと同時に、頭上で雷がとどろき始めました。
 彼女は頭を振りながら、泣いていました。ぼくも何も言えずにいました。
「ごめんなさい!」
 沈黙を破ったのは彼女でした。それだけ言うと、彼女はその場から逃げだすように走り去って行ったのでした。

 そして、すぐに、雨が涙をながすかのように降り始めたのでした。
スポンサーサイト
別窓 | 連載 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<つづり綴り | コトカケラ | 待たせたな!(・ω・′)>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| コトカケラ |
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。